農福連携とは、農業と福祉の両分野が連携し、障害者等が農業分野で活躍することを通じて、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組のことです。福祉分野における当事者である障害者等の雇用の場の創出や賃金・工賃の向上に加えて、農業分野における担い手不足の解消や農村地域の振興など、取組の拡大とともに農業と福祉の両分野からの期待が寄せられています。
さらに、「農業」と「福祉」の点的な連携のみならず、農福連携を中心に地域社会を構成する多様な組織や人材が協働して相乗効果を生み出す、いわば地域全体を包摂した農福連携の取組も生み出されています。このことは、地域内の人々の信頼と規範の醸成に基づく「社会関係資本:Social Capital」の概念とも共通しており、地域社会のパフォーマンスを高めることが期待されています。
農都共生総合研究所は、このような農福連携の取組を積極的に推進し、農福連携の全国的な普及や地域社会への定着、現場で活躍する方々への貢献を目指して取り組んでいます。
1.学会設立の趣旨
2024年5月に、改正食料・農業・農村基本法が成立し、新たに同法第 46 条に農福連携が位置づけられ、障害者等が農業活動を行うための環境整備を進め、地域農業の振興を図る旨が盛り込まれました。これを受けて、同年6月に、「農福連携等推進ビジョン」が改訂され、ビジョンに掲げられた取組を官民挙げて実践することで、日本の食や地域を支える農業の発展や障害者等の一層の社会参画等が促進されるとともに、多様な分野に取組のウイングが広がり、地域共生社会の実現を目指すこととなりました。
また、障害者基本法(2011年)や認知症基本法にも共生社会の実現は繰り返し訴えられており、具体的な方法が強く求められています。
そうした中で、地域で暮らす一人ひとりの社会参画を図る観点から、関係省庁による連携強化等を通じ、農福連携等を、ユニバーサルな取組として、障害者のみならず、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者等の就労・社会参画支援、犯罪をした者等の立ち直り支援等にも対象を広げて推進していく方針が示されました。また、農業だけでなく、林業分野、水産分野にも対象領域が広がっています。
こうした課題の広がりに対応するためには、農業系の学会、社会福祉系の学会、医学系の学会、その他関連する学会が、それぞれの研究分野で研究を行うだけでは、現場に貢献できる研究成果をあげることが難しくなっているとの共通認識が農福連携に取り組む研究者間で生まれています。
上記の状況を受けて、2024年12月21日に、農福連携の研究を行っている農業経済学、園芸療法学、医学、地域福祉学の専門家が集まり、各研究領域における最新の研究成果を紹介し合い、多様化する農福連携について、今後、どのように研究を進めていくべきか検討した結果、それぞれの研究領域の専門家が力を結集して研究を行い、その成果を現場に速やかにフィードバックしていくような共通のプラットフォームが必要であるとの共通認識を形成するに至りました。
これを受けて、関係する多様な研究領域の研究者及び、現場で農福連携に取り組む実践者が共に集い、研究の実施、研究成果の共有、現場での実践とフィードバックを行う学会を立ち上げるべく、取り組んでいくこととなりました。
2.学会設立の目的
学会設立の目的については、ご判断いただく材料としてお示しする必要があると思いまして、12月21日の研究会の登壇者で話し合い、以下のようなたたき台をまとめました。その後、発起人の方々からは、ご賛同の声を沢山いただきましたので、このような目的で動き出しています。
⑴ 農福連携の現場で役立つ研究成果の発信を最優先の目的とする。
⑵ 研究領域横断的な議論や研究成果の蓄積を行い、領域横断的な共同研究にも積極的に取り組む。
⑶ 農福連携の現場からの発信を大切にし、こうした情報を会員間で共有する。
⑷ 研究者と農福連携実践者の活発な交流、意見交換、スキル向上の場を設ける。
3.発起人リストの公開
まず、初めの取り組みとしまして、学会設立の目的に、ご賛同いただきました方々に、学会設立の発起人となっていただきました。今後も、ご賛同いただける方々に応援団として、随時加わっていただこうと思っておりますが、節目節目に、その時点での最新リストを発表させていただきます。
4.学会設立準備委員会の活動を開始
続きまして、学会設立に必要な事項を決めていくために学会設立準備委員会を立ち上げましたので、お知らせ致します。メンバーリストも併せて、公開させていただきます。先般、5月12日に第1回の会合を持ち、活動を開始しましたので、こちらもお知らせさせていただきます。
千葉大学 吉田 行郷
兵庫県立大学 豊田 正博
東京都健康長寿医療センター研究所 岡村 毅
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東北ケアファーム研究会は、令和6年度老人保健健康増進等事業『農業をいかした高齢者の生きがいづくり、役割創出、社会貢献、社会参加に関する調査研究』の研究成果を冊子「東北における高齢者の農的活躍のすすめ~農業を活かした、高齢者の生きがいと役割づくり・社会貢献と社会参加の促進に向けて~」にまとめました。是非ともご覧ください。
2024/12/21開催 農福連携の発展過程可視化と方向性解明に関する研究の成果報告会
~多様化する「これから」の農福連携研究を考える~
第1部 資料
マッピングから見えてきた日本の農福連携の可能性(鹿児島県) (1,721 KB)
マッピングから見えてきた日本の農福連携の展開方向(千葉県) (2.7 MB)
マッピングから見えてきた日本の農福連携の展開方向(モデル分析編) (3.8 MB)
第2部 資料
第4報告 宮脇文恵先生 動画
第4報告 義平大樹先生 リンク
※外部リンクに飛びます。
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